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取材仕事が楽になる 実践ノウハウ1 「準備編」 [ライター]



準備の質が、取材の質を決める


以前、あるライターさんに

「取材の準備なんて何もしないよ、質問事項も必要最小限しか用意しない。
準備しすぎると取材するとき、純粋な好奇心が沸き上がらないので話が弾まないよ」
・・・と言われたことがありました。

確かに、あまり調べ過ぎてしまうと、せっかく取材相手が答えてくれているのに
「あ、それは知ってるからいいや」と、深追いせずに話題を変えてしまい、
終わってみたら、あまり新しい話を聞き出せなかった・・・なんてこともあります


また、事前に相手の回答を想定して、
なんとなく取材原稿のストーリーを思い描いてしまうと
つい、そのストーリーに沿った話を聞き出そうとしてしまい
ストーリーから外れたコメントを無視してしまいがちです

一見、関係ない話に思えても、
相手が、ポロッとこぼしたセリフの奥に、本当に面白い話があった・・・
なんてことはよくあるので、
最初から型をはめてしまうのはよくありません。

しかし、そうは言っても準備はとても大事です

こちらの質問の質によって、相手の答えも自ずと変わってきます
質問の質を高める唯一の方法は、しっかり準備することです。

準備しておく3つのこと

では、何を準備すれば良いでしょうか? 主な項目は以下の通りです

1.取材相手の基本情報を調べる
2.聞くべき内容を整理する
3.質問の順番 (流れ)を考える

1.取材相手の基本情報

企業取材の場合は、
・会社の事業概要(主力業務や業務の幅)
・事業規模(社員数など)
・沿革
・主な事業所
といったところでしょうか

こうしたことを調べておくことで、話の理解力を高め
より突っ込んだ質問に時間を割くことができます

とくに、企業取材でひっかかるのはその会社特有の「社内用語」です
取材相手は、長年その企業に勤めている人が多いので、
社内用語であることを忘れているぐらい当たり前に「社内用語」を使います

しかし、取材時に「それどういうことですか?」と、
いちいち確認していると、話の腰を折ってしまい、
相手の話す意欲を削いでしまう恐れもあります

事前に、会社概要や事業内容を調べておけば
社内用語もある程度想像できます

例えば「その製品は川崎で開発して、四日市で作ってます」と言われたら
・川崎に研究所があったからそこで開発したんだな
・確か四日市に主力工場があるからそのことだろう  ぐらいはピンとくるようにしておきたいものです

もちろん、「SGが、PVで・・・」みたいな略称は絶対わからないので
早いタイミングでしっかり確認しましょう

2.聞きたいテーマの整理

エディトリアル系の取材の場合、面白い話が聞ければなんでも良い
みたいなケースもあるようですが
クライアント仕事での取材の場合は、聞くべきポイントが必ずあります

例えば、導入事例では
・該当する製品・サービスを導入すると「こんな良いことがあります」アピール
であり

採用案内の若手社員取材なら
・学生が読んで入社したくなるような「仕事のやりがい」や「会社の良いところ」アピール ですね

それをきちんと引き出すにはどんな質問が良いか事前に考えておきましょう

質問を考える際には、
<幹と枝>のセットで考えましょう

<幹:聞きたいテーマ>
<枝:聞き方>            というイメージです

例えば、導入事例の場合
聞きたいテーマのひとつとして
<幹:どんな導入メリットを感じているか?> があるとしましょう

しかし、取材の際に
「どんな導入メリットを感じていますか?」と質問しただけでは
「コストが30%削減できました!」と答えられて (あれっ終わっちゃった。。)と冷や汗ものです

欲しい回答は得られましたが
これだけでは原稿になりません

<枝>として
・実際に、その製品・サービスを使っている社員さんの評判はどうか
・顧客満足の向上につながったと感じることはあるか
・業務効率化に貢献できているか
・製品・サービスのメンテナンスは容易か
・今後、どのように活用の幅を広げたいか  など
いろいろな角度からの質問事項を準備しておきましょう。

3.質問の順番 (流れ)を考える

話をわかりやすく聞き出すには、質問の順番が結構大事です。
順番=時系列 です

例えば導入事例では

1.以前の状況はどうだったか
2.何が課題になっていたか
3.課題を解決しようとしたきっかけ(誰が・なぜ決断したか)
4.課題解決のために、なぜ当該製品・サービスを選んだか
5.導入の経緯
6.導入メリット 

などとなります。

他のテーマでも、だいたい同じで
時系列を意識して話を聞き出さないと、
因果関係がぼんやりしてしまい原稿を書く時に非常に苦労することになります

そんなこと当たり前じゃないかと思うかもしれませんが
取材される側には「話したいこと」というのが必ずあります
なんとなく、相手が話すのに任せて取材を進めていると
取材内容が、相手の「話したいこと」ばかりになってしまいます

たいてい、自分が苦労したことや、自分にとって印象的だったことについての話で、
上記の例でいくと、4番目、5番目くらいがメインになりがちです
記憶も鮮明で、エピソードも豊富なので取材もスムーズに進みますが

「そもそもどうだったのか」
「なぜそうなったのか」 
という因果関係もしっかり聞き出しておけば
原稿作成もスムーズに行えるようになります。

 

以上、取材の準備編でした。





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